膝のブヨブヨとした違和感の正体は?膝蓋前滑液包炎とは?

人の身体というのは非常によくできているコンピュータといえると思います。例えば私たちの身体にある手足や内臓などは不必要な部分もほとんどなく、から身体に電気信号が伝わる速度であったり、それによって身体を自由に動かせる、といったことは本当に素晴らしい機能です。

またそれは全身の事だけでなく背骨と背骨の間には椎間板という組織があったり、よく動く肘や膝などの関節組織にも硬い骨同士が擦れることがないよう、間にクッションを挟み、衝撃を和らげて動きを良くする組織が存在しています。

今回はに存在するクッションにある髄液包(かつえきほう)について記事を書いていきたいと思います。滑液包は日常的に膝をつくような動作が多い方や膝に疲労をためやすいスポーツ選手などにも起こることがある疾患で、重症化していくと膝の曲げ伸ばしが困難になったり痛みを伴う症状が起こるようになりますので、本文を読まれてご自身に当てはまると感じた時は予防や改善に向けて活動を起こすようにしましょう。それでは記事を始めてまいります。

膝蓋前滑液包炎とは?

重い体重を支えたうえで曲げたり伸ばしたりすることの多いは、その繰り返しの動作によって関節組織の一部が摩耗したり損傷したりして、炎症や痛みを引き起こすことが少なくありません。一方、同じ膝でも関節ではなくその前面にある「髄液包」という組織が炎症を起こすこともあり、これを「膝蓋前滑液包炎」と呼びます。

髄液包」とは筋膜(筋肉の表面にある膜)と皮膚の間や腱と腱の間にある組織で、中には少量の液体が入っておりある組織が擦れるときにその摩擦を軽減させるクッションのような役割を果たしています。このうち膝部分、膝のお皿(膝蓋骨)の上にある髄液包は「膝蓋前滑液包」と呼ばれており、膝にかかる衝撃を吸収したり腱が動く際の摩擦を小さくして、膝の可動範囲を最大限に広げる働きをしています。そしてここに何らかの外的ストレスが加わったために炎症が起こった場合を、「膝蓋前滑液包炎」と呼ぶわけです。

膝蓋前滑液包炎の原因と予防は?

膝蓋前滑液包炎はほとんどの場合、膝蓋骨を圧迫するようなストレスを慢性的に受けることで発症します。例えば床の雑巾がけのような膝をついて行う家事、保育士や旅館の女将のような膝をつくことの多い仕事などが原因である場合が多く、別名「女中膝」と呼ばれているのはそのためです。

一方、自転車から転倒するなどして突発的に膝蓋骨を強く打った時にも発症することがあり、この外傷性と慢性的オーバーユースという2つの原因が、膝蓋前滑液包炎の症例の過半数を占めていると言われています。一方症例としては比較的少ないものの、痛風や関節リウマチなどの炎症や、黄色ブドウ球菌による感染が原因で発症する場合もあるようです。

特にオーバーユースによって起こる膝蓋前滑液包炎の場合、最初は膝のお皿の上に直径2~3㎝ほどの腫れが見られるものの特に痛みや熱感もなく、触るとブヨブヨとした違和感を感じる程度です。この時点で原因となった外的ストレスを取り除けば次第に炎症も治まってくるのですが、これを放置しオーバーユースを続けていると、進行し腫れが大きくなって痛みも出てきますし、ひどくなると膝をスムーズに動かすことも難しくなります。それで膝蓋前滑液包炎の兆候に気づいたなら、できるだけ早い段階で専門家に診てもらうことが大切です。

一方感染が原因の場合は、膝が急激に腫れて発熱や紅斑、強い痛みを発します。この場合はまず原因となっている黄色ブドウ球菌を取り除くため、抗菌薬を投与する必要があります。

まとめ

今回は主に慢性的な負荷をかけることで起こるの疾患、膝蓋前滑液包炎について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、立ちっぱなし、座りっぱなしというよりは保育士さんや膝を使って掃除をするような方によくおこる疾患なので、上記のような症状が身体に出た時は、専門家に相談してみるようにしましょう。それでは本文の最後にストレッチをご紹介して終わろうと思います。

その1 大腿四頭筋のストレッチ

片足立ちの姿勢で行います。机や柱などを支えにするほうがバランスを保ちやすいです。ストレッチしたい方の膝を大きく曲げて、かかとがお尻につくようにぐっと曲げます。曲げたほうの足の甲を手で押さえて、その手を引き付けて曲げた膝を後方に移動させます。すると太ももの前側が張ってくると思いますからその体勢を15秒ほど続けます。

その2 腸腰筋のストレッチ

うつぶせでバンザイの姿勢をとり行ないます。伸ばしたい方の足を後方でクロスさせ、反対の足を越えてさらにできるだけ外側に移動させます。伸ばしたい方の手はバンザイしたままできるだけ前方に伸ばします。すると体幹や股関節のおなか側に位置する腸腰筋が伸びる感覚がありますから、その状態で15秒ほど保ちます。

引用:慢性痛治療の専門家による痛みと身体のQ&A

URL: https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/jumpers-knee.html