座りすぎで糖尿病や心臓病に!?死亡リスクを高める『セデンタリー・デス・シンドローム』の恐怖

2018年7月21日

みなさんは仕事中、ついつい座りすぎてはいませんか?

 

今、座りすぎによる健康被害が問題視されています。

多くの研究で、長時間座り続けると病気や死亡のリスクを高めるこということが報告されているのです。

 

今回は、座りすぎによる健康被害として『セデンタリー・デス・シンドローム』という病気についてご説明します。

解消法も紹介していますので、デスクワークで座る時間が長くなりがち…という方はぜひご覧ください。

 

がんや心臓病、早死にまで…『セデンタリー・デス・シンドローム』とは

運動不足が世界的に問題視されている今、その影響のひとつとして「肥満者の増加」も数多く報告されています。

 

肥満は、心臓病や脳卒中、がん、糖尿病など、さまざまな悪影響を及ぼします。

米国疾病管理センターによると、アメリカでは毎年30万人が肥満関連の疾病で死亡しているそうです。

 

アメリカでは、政府機関やNPOなど多くの団体が、運動不足や肥満の増加に対して、キャンペーンを展開しています。

このような状況下、2000年には『セデンタリー・デス・シンドローム』という新しい病名が提唱されました。

セデンタリー・デス・シンドロームとは、座りがちの生活が生死に関わる病気に関係していることを印象付けるねらいで名付けられた病名です。

この表は、セデンタリー・デス・シンドロームに含まれる26の病的な状態を表しています。

実に多くの病気に関係していることに驚かされます。

皆さんの馴染みが深い病気も多いのではないでしょうか?

表の21番にも「早世」とあるように、セデンタリー・デス・シンドロームは早死にのリスクも高めるのです。

 

日本人は座りすぎ!

これは、世界20か国における平日に座っている時間を比較した表です。

この研究によると、日本は世界中でもっとも座っている時間が長いということが明らかになりました。

20か国の平均は300分であるのに対し、日本は平均を2時間も上回る420分です。

 

正しい姿勢でも長時間の座りっぱなしはNG!

米誌『THE WALL STREET JOURNAL』には、ムラデン・ゴルビック氏による次のような記述があります。

 

Sitting to Death?

His clinic sees patients with multiple chronic illnesses.

Nearly all of them sit for long periods each day.

The term Sedentary Death Syndrome was coined by the President’s Council on Physical Fitness and Sports in 2002 to address the growing consequences of a seated lifestyle.

“There are studies on Sedentary Death Syndrome that show that sitting for hours can cause anything from lower back pain to high cholesterol, diabetes and obesity," he says.

In other words, no matter what position you’re sitting in all day, it is pretty bad for you.

 

ゴルビック氏は、自身のクリニックで、複数の慢性疾患を抱えた患者を診ていく中、そのほぼ全員が、毎日長い時間を座って過ごすことが分かりました。

何時間も座っていることが、腰の痛みや糖尿病、肥満の原因になりうることを示す、セデンタリー・デス・シンドロームの研究があります。

彼は、どんな姿勢であろうと長時間座っているというのは体に悪いと述べています。

 

最後に、セデンタリー・デス・シンドロームを防ぐ方法として、このように結論付けられていました。

 

Walk, Don’t Sit.

The bottom line: How you sit is less important than how long you sit, Dr. Golubic says.

He tries to get up from his desk often, doing “walking meetings" with colleagues and taking phone calls outdoors. “If you cannot walk," he says, “At least stand."

 

歩きなさい。座ってはだめ。

結論:ゴルビック氏によれば、座っているときの姿勢よりも、どれだけ長い時間座っているかということの方が重要なのだ。

彼は、しばしば席を立ち、同僚と歩きながらミーティングをしたり、外で電話をしたりするようにしている。

歩けない場合は、少なくとも立っていなさい。

 

(引用:Burning Qestion:Why Sit Up Straight?―THE WALL STREET JOURNAL.)

 

座りすぎの生活では太りやすくなってしまう!

座りすぎによる健康被害が問題視されている中、メイヨー医科大学院の内分泌学者であるJames Levine氏は次のように述べています。

 

“The chair is out to kill us.”

「椅子は私たちを殺そうとしている。」

(引用:Don’t just sit there. Really?―latimes)

 

もともと、人間の体は歩くために設計されており、実際数千年もの間よく歩いていました。

しかし、今では、アメリカ人の多くが、起きている時間の半分以上を座って過ごしているという調査もあるそうです。

 

私たちは座っているとき、あまりエネルギーを使いません。

これは、言い換えれば『太りやすくなってしまう』ということになります。

 

肉体労働の人が1日で2300カロリー消費するのに対し、デスクワークの場合は300カロリーしか消費されないというデータもあるほどです。

朝から晩まで熱心に机について作業をすることは、糖尿病や心臓病、早死にのリスクを高めてしまいます。

 

A study published in the journal Diabetologia in November 2012 analyzed the results of 18 studies with a total of nearly 800,000 participants.

When comparing people who spent the most time sitting with those who spent the least time, researchers found increases in the risks of diabetes (112%), cardiovascular events (147%), death from cardiovascular causes (90%) and death from all causes (49%).

(引用:Don’t just sit there. Really?―latimes)

 

2012年、Diabetologia誌で公表された研究によると、もっとも長い時間座って過ごしていた人は、もっとも座る時間が短い人よりも、糖尿病や心血管系の疾患などのリスクが大幅に高まることが分かりました。

 

死亡リスクを下げるポイント「消費エネルギー」

ここまでで、座りすぎの生活が病気や死亡のリスクを高めることがお分かりいただけたと思います。

それではこれらのリスクを下げるためにはどのようにすれば良いでしょうか?

 

ある研究では、1日のエネルギー消費量を増やすと、死亡リスクが低下することが明らかになりました。

これは、70歳から82歳の高齢者302人を対象に、エネルギー消費が死亡率と関係しているかどうかを調べるために行われた研究です。

 

その結果、1日のエネルギー消費が521 kcal未満の人の死亡リスクが24.7%であるのに対して、1日のエネルギー消費が770 kcalより多い人の死亡リスクは12.1%でした。

つまり、エネルギー消費は、高齢者の死亡リスクの低下と強く関連しており、1日の消費量を増やすと死亡リスクは低下するのです。

(参考:Expenditure and Mortality Among Older Adults―The JAMA Network)

 

座りすぎると血液がドロドロに…

『世界一受けたい授業』では、座りすぎによる健康被害の解消法として次のような紹介がありました。

 

そのポイントとなるのが「血流」です。

長時間座り続けると、体内の血流の速度が落ちてしまいます。

また、座る時間が長くなればなるほど血流の速度は低下し、座ってから30分後の血流速度は、座った直後よりも約70%も低下してしまうのです。

 

歩いたり立ったりしているときは、筋肉が働き、代謝が行われます。

しかし、長時間座り続けると、筋肉がまったく使われません。

そのため、糖や中性脂肪が十分消費されず、血液中に滞り、血液がドロドロになったり、血液がうまく循環できなくなり、結果として、病気や死亡のリスクが高まるのです。

 

目安として、『1時間座ったら5分立って少し動く』ということを心がければ、座りすぎを防ぐことができるそうです。

 

座りすぎをこっそり解消する『こそトレ』

しかし、仕事中はすわ立ち上がれないという人もいるのではないでしょうか?

『世界一受けたい授業』では、その解決策として、座りながらでもこっそりできるトレーニングとして、「こそトレ」が紹介されました。

 

【「こそトレ」の方法】

①つま先が天井に向くように片足をあげます。

②あげた状態を5秒間キープしてください。

③これを左右5回ずつ30分ごとに行いましょう。

 

このトレーニングは、太ももの筋肉を使うので、血流の改善効果が期待できるのです。

また、この方法以外にも、座った状態でつま先を床につけたまま、かかとを上げ下げする運動もおすすめです。

(出典参考:2017年8月5日放送『世界一受けたい授業』)

 

まとめ

いかがでしたか?

座っているのは楽でいいですが、あまりにも長時間座り続けると、病気や死亡のリスクがどんどん増していくのです。

デスクワークの方は、どうしても座る時間が長くなってしまいます。

今回ご紹介した方法を少し空いた時間にでも試してみてくださいね。

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Posted by aoi-staff