きっかけは退職?高齢者うつとは!!

2018年の統計では日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳と過去最高を記録しましたし、自分で自立して生活が出来る健康寿命も16年時点で女性74.79歳、男性72.14歳とやはり過去最高を記録しました。

それによって元気なお年寄りも増え、趣味を持って毎日楽しく暮らしているという話をよく耳にするようになりました。いままでのご苦労を思えばそれは素晴らしいことだとおもいます。しかし、長寿になるに従って昔はそれほど見られなかった疾患が増えていることも事実です。

もちろん、年齢を重ねることで身体は衰えていき、腰や膝、あるいは肩に慢性的な痛みを抱えているという方もいらっしゃいますが、今回は若者では無く、高齢者に起こるうつ病について記事を書いていこうと思います。

高齢者うつ病とは?

うつ病というと責任や上からの重圧がかかるサラリーマンや育児・家事を一人でこなす主婦の方々に起こるというイメージをお持ちだと思います。しかし昨今では、うつ病の知名度が上がると共に、親や周りから受けるストレスによって小学生にこの症状が現れたり、仲間と同調しなくてはいけないというプレッシャーから中高生にも多く発症しています。

うつ病はもちろん、自分のせいで起こるものではありませんが、発症する理由は様々でその方の元々持っている価値観性格も発症に大きく影響を及ぼします。

例えば昨今の高齢者といえば古くは戦争を生き抜いてきたり、その後の高度経済成長期を生き抜いてきた方々ですので、「働かざるもの食うべからず」「男子たるもの毅然としていなくてはいけない」など自分を律し、社会に奉公するのが普通というとても強い方々です。

しかし一度、仕事や子育てが終わってしまうと、仕事に命を燃やし過ぎた結果、自分には趣味や会社以外での友人がいないと気づいたり、家事ができないことで家族からつまはじきにされてしまったりと自尊感情が低下する場面によく会うそうです。

また若い時はなんでも自分で出来たことが病気やケガ、あるいは加齢によって身体は動かし難くなり、パソコンやスマホなど自分では扱えない機械が増えるなど環境の変化が起こったりして虚無感が膨らんだりすることも高齢者うつ病を発症するきっかけになります。

高齢者うつと認知症

高齢者うつ病の症状は様々なものがあります。例えば、ぼーっとしている時間が増える、元気がない、物忘れが増える、趣味や周りに興味を示さなくなるなど目に見えるものもあれば、身体的不調といって食欲不振、頭痛、肩こり、吐き気といった一見するとうつ病かどうか原因が特定できない不調も出てきます。

あるいは本人にしかわからない妄想不安感を感じる方もいらっしゃいます。具体的には少し膝や胸が痛いだけなのに、自分は不治の病にかかってしまった、何もしていないのに犯罪を犯してしまったから警察が自分を捕まえに来る、破産・倒産してしまったからお金が無くなってしまった、などの妄想をしたり、言いようのない不安を覚えて部屋に引きこもったり、イライラから家族に当たり散らしてしまったりといった行動を起こすようになります。

また認知症との大きな違いは症状の出方と認識の仕方にあります。症状は先ほど登場したものと変わりませんが、認知症進行していく疾患ですので徐々に物忘れが増える、放心する時間が増える、というように少しずつ変化していくのに対して高齢者うつはその症状が複数、そして一気に起こるのが特徴です。

他にも物忘れという点で言えば認知症の場合、自分が食事を取ったかどうか事態を忘れてしまい、さらにそれを家族に確認したかどうか、という事も失念してしまうので、自分は認知症になりかかっている、あるいは発症してしまっているという認識が出来ません。

一方で高齢者うつは物忘れをしたという事実を認識することが出来ます。そのため、自分の症状が進行していくことが理解できてしまうので、自分の不甲斐なさを実感してしまったり、家族や周りに迷惑をかけてしまったという事がわかってしまうので、認知症よりもネガティブな感情を生み出しやすく、症状を悪化させてしまうようになるのです。

 

まとめと対処法

今回は仕事や子育てを終えて孤独感虚無感を持ったり、自分の身体的な不自由を理解することで発症する高齢者うつ病について記事を書いてまいりました。

うつ病は専門的な治療を行えば治るといわれていますが、まずは予防することが大切です。その方法は数々ありますのでその方に合ったものを見つけられることが一番ですが、その方の好きなもの好きなジャンルなどで新しい人生の目標を見つけてあげることが最も効果的だと思います。

それが孫の世話であったり、あまり身体に負荷のかからないスポーツであったり、料理を始めたり、パソコンを習ってみたりと、この日本では新しく何かを始める環境は大いに整っています。

しかし、自分からそれらに興味を持って始められる方は少ないものです。それは始める気恥ずかしさもあるでしょうし、初めてであっても失敗することを恐れてしまうからです。そんな時は周りの方がそっと背中を押してあげたり、一緒に始めてあげたりと助け船を出してあげられると、とても良いですね。

高齢者うつの問題は掛かっている本人だけでなく周りにいるご家族や友人をも巻き込んでしまいますから、先を見据え、そういった事態に陥らないようにしましょう。

 

高齢者うつ

Posted by aoi-staff