ストレス社会が生み出す!?慢性疲労!!
日本はストレス社会といわれるようになって長い年月が経ちました。昨今では生活や社会の構造自体が私たちにストレスを感じさせるようなものとなっているのかもしれません。
それは、毎日仕事をしている人だけに限られることではなく、家事や育児などに従事している人でもこのストレス社会から少なからず影響を受けてしまうものです。
そしてこのストレス社会と切っても切り離せない問題の一つが疲労だと思います。忙しすぎて十分な休息をとる時間がなかったり、ストレスをたくさんため込んだりすると、疲れが蓄積され、いつの間にかずっと疲労を感じるというような状態になってしまう可能性があります。
それでは多くの人々を悩ませている慢性疲労という問題についてご一緒に確認してまいりましょう。
慢性疲労とは?
疲労と書いてあると、一晩寝れば回復する、スタミナのある料理を食べたら回復するという捉え方をしている方もいらっしゃると思いますが、慢性疲労とは、充分な休息を取っても疲れが取れない状態のことをいいます。特に6ヵ月以上疲労が続き、一晩寝ても疲れがとれないのであれば慢性疲労だと診断されます。
以前に厚生省(現厚生労働省)が行った調査では、日本人の3人に1人が慢性疲労を訴えていると報告されており、ますますストレスが増えている現代では、さらに慢性疲労で苦しむ人の割合は高くなっていることが推測されます。
慢性疲労の原因とは?
慢性疲労を生じさせる原因を理解するためにはまず「疲労」のメカニズムを知る必要があります。この「疲労」と大きく関わるのは、活性酸素の存在です。
筋肉を使うか脳を使うかにかかわらず、人が何らかの活動を行うと、体内で大量の活性酸素が生産されます。活性酸素は、体内の免疫機能や感染防御の重要な役割を担います。また細胞間のシグナル伝達、排卵、受精、細胞の分化などの生理活性物質としても利用されています。しかしこの活性酸素が過剰になると細胞を攻撃する敵になってしまうのです。
確かに人間の体内にはこの活性酸素から自己を防御して活性酸素の産生を抑制したり、生じたダメージの修復・再生を促したりする働きを有している抗酸化防御機構が備わっているのですが、過度な運動やストレスなどにより活性酸素の産生が過剰になり、抗酸化防御機構のバランスが崩れてしまうと筋肉細胞や神経細胞が酸化し傷ついてしまうのです。これが疲労を発生させるメカニズムといえます。
通常であれば、夜しっかり休息をとることにより、副交感神経が働き、疲労の回復が促されるのですが、夜十分な睡眠をとることができなかったり、不規則な生活を送っていたり、またあまりに疲労の度合いが大きければ、細胞の修復に必要な時間が足りず、体の疲労が残ったままの状態になってしまいます。
結果、慢性疲労の状態に陥ると、疲れきって傷ついた細胞を修復する余裕がなく、十分に回復しないまま、さらなる疲労が積み重なった状態になってしまうというわけです。
放っておくと危険な慢性疲労
慢性疲労をただの疲れとして片づけてしまうのは危険です。なぜなら慢性疲労は病気につながるだけでなく、すでにかかっている病気を知らせる危険信号として起きている可能性もあるからです。
例えば疲労感を伴う病気は、高血圧、低血圧、心臓や肺、呼吸器の異常、貧血、糖尿病、肝機能異常、腎臓の異常、甲状腺の異常、がん、ウイルス感染などさまざまで、放っておくとそれらの病気を進行させてしまうおそれがあります。
また、疲労感が蓄積しているものの日常生活を送るのに支障はない慢性疲労とは異なり、より重い症状が特徴の「慢性疲労症候群」を患っている可能性もあります、これは日常生活に影響をきたすほどの激しい疲労感や微熱、頭痛、筋肉痛、睡眠障害が6ヵ月以上続くことが特徴ですから、症状に心当たりがある方はすぐに専門家に相談しましょう。
慢性疲労を解消する生活習慣
では慢性疲労を解消するためにどんなことができるでしょうか?まず、一番大切なのは質の良い睡眠をしっかりとることです。よい睡眠がとれると、大脳の生命中枢にある自律神経や免疫系の機能が正常に整えられ、心身のバランスが安定した状態になります。
また質の良い睡眠をしっかりとるためには他の生活習慣にも気を配る必要があります。その一つが適度な運動習慣です。特に長時間同じ姿勢で仕事をする人や運動不足の人は、全身の血流が悪くなりがちで、疲労物質が溜まったままになり、疲労感を感じやすくなります。ウォーキングや軽めのジョギングなどの運動を週2回以上はするように心がけましょう。
また、毎日5分間だけでも、心と体をリラックスさせる時間を作ってみるのも効果的です。入浴やアロマセラーピー、または好きな音楽を聴いたり、ゆっくりお茶を飲むなど、心を解放する時間は、身体的にも精神的にもバランスを回復させ、疲労を解消することができます。特に寝る前にリラックスした状態になると質の高い睡眠をとる助けになります。
まとめ
この記事では、慢性疲労の原因とメカニズム、また対処法などを見てまいりました。長期間に渡り疲労を感じたり、睡眠をとっても疲労が回復しないといった症状を感じる場合は、慢性疲労の可能性を疑ってみましょう。
ただの疲れと片づけるのではなく、睡眠や運動の習慣を見直して、なるべく早めに疲労を解消し、仕事・家事・育児・趣味など思いっきり楽しめるようになりましょう。しかし、もしも慢性疲労の症状がなかなか解消しない場合はお気軽に当院までご相談ください。