肘の酷使が痛みを生む!?ゴルフ肘!
野球肘やテニス肘という名前をご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。このブログでは前回、テニス肘をご紹介させていただきましたが、前回もお話したようにスポーツにはそのスポーツの動きやプレーによって様々な疾患があります。今回ご紹介するゴルフ肘もその一つです。
これはバトミントンやテニスなどラケットを使用したスポーツを行なう人に多く見られるスポーツ障害ですが、楽しいスポーツも真剣に取り組んでいると、よく使う身体の一部分に負担がかかって痛み始めることがあります。身体のどこを痛めても生活に支障が出るものですが、特に日常生活でよく使う場所が痛むと辛いものです。
スポーツ障害の一つである「ゴルフ肘」とはどのような疾患なのか、一緒に確認してまいりましょう。今回の記事でゴルフ肘の症状を知っていただき、予防・改善が上手くいき、楽しくスポーツを続けられる方が増えれば幸甚です。
ゴルフ肘ってどんな疾患?
例えばゴルフの場合でいうと、ダフって(土をたたいて)しまったり、無理なスイングを行なうことによって、上腕骨内側上顆(じょうか)に負担が加わって炎症が起きた状態のことを言います。ちなみにテニス肘の場合は上腕骨外側上顆炎と呼ばれます。
ではそもそも上腕骨内側上顆とはどの部分のことを言うのでしょうか。腕を折り曲げた時に外側になる部分を肘と呼びますが、その小指側、内側の骨の出っ張った部分のことです。上腕骨は肩から肘に至る太い管状の骨で、その下方の両端に内側上顆と外側上顆が付属しています。
このうち内側上顆には、肘から手首に至る手根屈筋という筋が付いていて、この筋は指や手首を曲げたり肘をひねるなどの運動の際に肘関節が連動して動くため、使いすぎると内側上顆に負担がかかり炎症を引き起こします。通常のゴルフのスイングでは手首はほとんど動きませんが、無理に手首を使うスイングを続けると肘に負担がかかり炎症を招いてしまうわけです。
この疾患は、安静時に痛みを感じることはほとんどありませんが、曲げたりひねったりするなどの運動の際に肘の内側に痛みが伴い、また内側上顆を圧迫することによっても痛みを感じます。
ちなみにスポーツ選手以外でも手や手首をよく使う仕事、例えばシェフが重い鍋を持って料理する、また事務作業で繰り返しタイピングを行なうなど、同じ動作を繰り返すことによって肘をよく使う場合にも発症します。人間は実際に痛みが走るまでは症状を放置してしまうものですが、肘は普段意識していないだけで非常によく使う箇所です。
動くたびに痛みが走ってはスポーツだけでなく日常生活でも動くことが億劫になってしまいますので、これからご紹介する予防法を是非、試してみてください。
ゴルフ肘を予防するには?
特にゴルフ初心者には、肘に力が入り過ぎた状態でスイングしてしまう傾向が多く見られます。肘が内側に曲がり肘の内側の筋が伸びた状態で、小指や薬指を握る筋肉が過剰に働くと、肘の内側の筋が引っ張られて痛みが発生します。ですから肘の緊張を解く事が大切です。グリップを強く握り過ぎないように気をつけましょう。
どのようなスポーツでもそうですが、慣れないと力加減が分からず変な力が入ってしまうものです。意識的に肘の力や握る手の力を抜くように心がけることをお勧めします。
また、上腕(前腕部)の筋肉が疲れることによって、その筋肉の付け根である肘に炎症が起き痛みが出ることもあります。過度の筋肉疲労による痛みをそのままにしておくと、場合によっては重症化してしまうことも考えられるので、早めに処置をして休ませることも大事です。
他にも、身体全体のバランスを整えることも大切です。ゴルフ肘のように体の一部分だけに負担がかかることによって痛みが現れる疾患は他にも様々ありますので、練習前後には肩や肘だけでなく、身体全体のストレッチも行なうようにしましょう。
まとめ
今回は肘の内側が炎症して痛みを発生させる、ゴルフ肘について記事を書いてまいりました。冒頭でも触れましたが身体のどんな部分であっても痛みは辛いものです。まして好きなスポーツや仕事をしていて痛めることによって、好きなことを続けることができなくなるのは是が非でも避けたいものです。
そうした事態に陥らないようにするためにも、ゴルフ肘を発症するメカニズムをよく理解し、ひどくなる前にどうすれば前もって予防できるかを知っておくことが大切です。今の時代、仕事のストレスや電子機器の使い過ぎによって、知らず知らずの間に筋肉が固まって身体の一部分を痛めてしまうというのは誰にでもあり得ます。
どんなに忙しくてもリラックスする時間を取ったり、身体のメンテナンスを定期的に行なうことによって心身共に健康で生活したいものです。日常生活にさほど支障がない痛みだと治療をせずに放ってしまいがちですが、健康な生活を送るには当然ながら身体に痛みがないことがとても大切です。もし身体に痛みや凝り、ストレスなどが溜まってきた時は、お気軽に当院までご相談ください。