朝起きると体がだるい…睡眠中に起きる「寝コリ」を防いでぐっすり寝る方法
寝ても寝ても疲れがとれない…
朝起きると背中や肩が凝っていた…
このようにしっかり寝たのに体がだるい、重い、痛いと感じた経験はありませんか?
これらは寝ている間に体が凝ってしまう「寝コリ」が原因かもしれません。
このような状態では睡眠時間が足りていても疲れがとれず、放っておくとどんどん疲れやすくなってしまいます。
「最近体がだるい」「なかなか疲れがとれない」と感じている方は、知らず知らずのうちに体が凝っている可能性があります。
「寝コリ」セルフチェック
「寝コリ」とは、寝ている間に筋肉が固くなって、体が凝ってしまうこと。
まずは、あなたの寝コリ度をチェックしてみましょう。
睡眠中にリラックスできている?寝コリ度チェック
□睡眠時間は少なくないのに、起床後もとても眠い
□仕事をしていても午前中に睡魔に襲われることが多い
□朝の洗顔やうがい、着替えといった簡単な動作で体のどこかが痛んだり、体が固く感じたり違和感がある
□怖い夢や嫌な感覚の残る夢を見る
□睡眠時、歯ぎしりを指摘されたり、歯の食いしばりの自覚があったりする
□起床後、胃腸の不調を感じることが多い
□出勤時や午前中の外出時に脚の疲労を感じる
□快晴の日の明るさは、眩しすぎて不快に感じる
□以前は違和感がなかったが、枕や布団が体にしっくりこない気がしてきた
当てはまる項目が多ければ多いほど、寝コリ状態に陥っている可能性が高いため、注意が必要です。
もしかすると自分でも気付いていないうちに体が凝っていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
寝コリと自律神経の関係
寝コリの原因として、ベットが狭かったり、枕の高さが合っていなかったりと、自分に合わない寝具を使っていることが挙げられます。
このような状況では寝返りをうまく打てないため、長時間同じ姿勢を強いられることになり、体が凝るのは避けられません。
また、布団に横になったときに、自分では体の力を抜いているつもりでもうまく抜けていないことも原因です。
そしてこれに大きくかかわっているのが「自律神経」。
自律神経とは、循環器や消化器、呼吸器など、生命の維持にかかわるあらゆる器官の活動を調整するための神経です。
この神経は自分の意志とは関係なく、無意識に働いています。
自律神経には次の2つの種類があります。
体の活動時や昼間に活発になる「交感神経」
安静時や夜に活発になる「副交感神経」
寝コリが起きてしまうのは、寝ている間にリッラクスするための副交感神経が優位にならず、本来であれば体が休息状態に入るはずなのに無駄な力が入っているというような緊張状態が続いているためです。
交感神経と副交感神経は、臓器に対して正反対の影響を与えます。
例えば、交感神経が心拍を促進するのに対して、副交感神経は心拍を抑制する働きがあります。
このように、臓器は交感神経が優位の状態でエネルギーを発散し、副交感神経が優位の状態でエネルギーを蓄積します。
つまり、寝コリの原因となるような交感神経が優位の状態では、睡眠中も内臓が休めず、活発に働いているために、内臓が疲れてしまい、体にさまざまな悪影響を及ぼしてしまうのです。
しかし、原因はわかっても、寝ている間に意識して何かを変えようとするのは難しいですよね。
そこで次に寝コリを防ぐ就寝前の行動をご紹介します。
交感神経を活性化する「ブルーライト」
みなさんは「ブルーライト」という言葉を耳にしたことがありますか?
最近ではテレビや雑誌、眼鏡屋さんなど、いたるところで使われていますよね。
実はこのブルーライト、自律神経とも深い関係があるのです。
ブルーライトというのは、その名の通り青色光のこと。
人の目で見ることのできる光の中でもっとも波長が短く、もっとも強いエネルギーを持っています。
一般的に私たちが光と呼んでいるものは、人の目で見ることのできる可視光線のことです。
可視光線の波長はおよそ400~800nmで、ブルーライトの波長は380~500nm。
400nmより波長が短くなると紫外線、700nmより波長が長くなると赤外線と呼ばれます。
つまり、紫外線にもっとも近い強いエネルギーを持つ光がブルーライトです。
パソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイやLED照明にはこのブルーライトが多く含まれています。
ブルーライトは、目や体に大きな負担をかけると言われており、厚生労働省のガイドラインでも、パソコンやスマホなどを使い、1時間の作業を行った際には15分程度の休憩を取ることが推奨されています。
このブルーライトを見続けると、交感神経が刺激され、副交感神経の働きが弱くなってしまいます。
布団に入ってからもスマホを使い続ける行為は睡眠に大きな悪影響を及ぼす危険性があるため注意が必要です。
また、夜遅くまでブルーライトを浴びる生活は体内時計の乱れを生じさせます。
体内時計は、日の出とともに目覚めて活発に活動し、日が沈むと脳と身体を休めるという健康を維持するためのリズムです。
ブルーライトの強い刺激を受けると、脳が朝だと判断し、どんどん頭が冴えてきてしまうのです。
最近では、ブルーライトカットの眼鏡やスマホなどに貼るシートも販売されています。
これらのグッズをうまく活用してみると良いでしょう。
ただし、ブルーライトカット機能があるからといっても完全にブルーライトを遮断することはできません。
一番の対策は、夜遅くにスマホやパソコンなどの強い光を見ないことです。
近年、スマホやパソコンなどを長時間利用することによる脳の負担から「テクノストレス不眠」に悩む人が急増しているといわれています。
テクノストレス不眠の厄介なところは、症状が進むとうつ病などの心の病に繋がる可能性があるということ。
寝る前は写真集を眺めたり、一度読んだ本を読み返したりゆったりとした時間を過ごすのがおすすめです。
(参考:ブルーライトとはーブルーライト研究所)
腹式呼吸で副交感神経の働きを高める
副交感神経の働きを高めるために、もっとも手軽で効果的なのが「腹式呼吸」です。
緊張したときに、心を落ち着かせるために深呼吸が効果的であることはよく知られていますよね。
みなさんも一度は行ったことがあるのではないでしょうか?
深呼吸で心が落ち着く理由は、自律神経のバランス調整にあります。
私たちが息を吸う際には交感神経が、息を吐く際には副交感神経が強く働きます。
つまり、吐く息に意識を置いた呼吸法を行うと、副交感神経の働きを高めることができ、リッラクス効果が期待できるのです。
呼吸法は大きく分けて、胸式呼吸と腹式呼吸の2つがあり、私たちが普段行っているのは胸式呼吸です。
呼吸が浅く、短い胸式呼吸は、交感神経を刺激します。
一方、腹式呼吸は鼻で息を吸いながらお腹をふくらませ、吐く息でお腹をへこませる呼吸法です。
胸式呼吸よりも自然とゆっくりになり、吐く息を意識的にゆっくりとすればするほど、副交感神経が優位になるので、リラックすることができるのです。
腹式呼吸の方法は次の通りです。
①目を閉じて、呼吸を整える。
②体の力をスッと抜き、呼吸に集中する。
③下腹を意識して、鼻からゆっくりと息を吸い、口から吐き出す。
この流れを自分の呼吸にだけ集中して行いましょう。
私たちは普段無意識に呼吸をしています。
しかし、無意識に行っている呼吸を意識的にコントロールすることで、交感神経と副交感神経のバランスをとることができるのです。
腹式呼吸は、いつでもどこでも行うことができます。
リラックス効果だけでなく、集中力を高める効果もありますので、仕事の合間などでちょっとした時間で行ってみてはいかがでしょうか?
(参考:自律神経、呼吸法で調整―大和薬品株式会社)
寝コリを防ぐストレッチ
寝る前に軽いストレッチを行うのもおすすめです。
ストレッチを行うことで、副交感神経が優位になり、リラックスした状態に導くことができます。
ストレッチには、運動をする前にウォームアップとして行う動的ストレッチと運動後にクールダウンとして行う静的ストレッチがあります。
実は、仕事や家事、育児など、日常生活のさまざまな動きには、軽いスポーツをしたときと同じくらい筋肉や関節が使われています。
そのため、運動後に限らず、就寝前に静的ストレッチを行うことで、心身をリラックスさせて眠りの質を高めることができるのです。
寝る前のストレッチは、布団やベットの上でも手軽にできるものがおすすめです。
①仰向けになり、腕と足を上げて、手首と足首の力を抜きながらぶらぶらと振る。
②膝を抱え、胸に引きつけながら、腰からお尻、背中の筋肉を伸ばす。
③両手を広げ、肩をなるべく浮かなさいように、両膝を立て、左右それぞれにゆっくり倒す。
④うつ伏せになり、あごは上げないように上体をそらす。
⑤手を前に伸ばし、おしりを後ろに引きながら、腰から背中の筋肉を伸ばす。
⑥仰向けに戻り、おなかに手をあてて、全身の力を抜いてゆっくりと深く腹式呼吸をする。
また、入浴後などの体が温まった状態で行うとさらに効果的。
ストレッチによってリラックスできるのは心だけではありません。
無意識に力が入ってしまう筋肉のこわばりをゆるめてくれる効果もあるので、毎日の習慣として行ってみてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
寝ている間に体が凝ってしまうと、翌朝体がだるい、重いと感じてつらいですよね。
このような「寝コリ」を防ぐために大切なのが寝る前にどのような行動をとるかです。
ベットや布団に横になって、寝る直前までスマホをいじっているという方もいっらしゃるかもしれませんが、質の良い睡眠のためにはできるだけ避けた方が良いでしょう。
寝コリが慢性化しないためにも今回ご紹介した呼吸法やストレッチなどを試してみてくださいね。