老化現象の一つ⁉︎脊柱管狭窄症
気持ちはいつまでも若いのに身体は一年一年老化し、あちこちが痛み始めるというのはだれも避けられない現実です、身体の一部が痛むと気持ちも落ち込んでしまい、明るく楽しく日常生活を送ることが難しくなります。
今回は特に高齢者の方に良く起きる腰の疾患、脊柱管狭窄症について記事を書いてまいります。この疾患は脊髄を守っている背骨や背骨同士をつないでいる椎間板が厚くなったり、曲がったり、変形することで神経を圧迫し、痛みを発生させる疾患です。
それでは詳しく確認してまいりましょう。
脊柱管狭窄症とはどんな疾患?
脊柱管狭窄症を知るには背骨の構造を説明する必要がありますので、まずはそちらからご説明していこうと思います。背骨は椎骨(ついこつ)という骨が積み重なるように出来ており、椎骨同士は椎弓(ついきゅう)という骨が上下を繋ぎ、その間には椎間板というクッションが入っています。
ちなみに背骨というのは、頭から首にかけて7個、首から背中に12個、背中から腰に5個、骨盤の一部の仙椎と呼ばれる個所に5個、尾骨にあたる尾椎に4個、合計33個の骨で構成されています。意外と多いですね。
さて、次に脊柱管という組織についてですが、先ほどもご紹介した椎骨という組織は真ん中に穴が空いており、ここを脊柱管というホースが通っています。そしてその脊柱管の中には脊髄が走っています。ご存知の方も多いと思いますが、この脊髄といのは身体の組織に脳からの電気信号を伝える神経の束です。
そして脊柱管を囲む組織に老化・肥厚・変形などが起こり、脊髄や血管が圧迫され、腰痛、下肢の痛み、足のしびれ、歩行困難、長時間の歩行困難などを発生させるのが、今回テーマになっている脊柱管狭窄症というわけです。
脊柱管狭窄症の症状は?
この疾患は背骨のどこに狭窄症が起こるかによって症状が異なります。大別すると腰から上に症状が出る頚部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と腰から下に症状が出る腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)に分けることができます。
頚部脊柱管狭窄症は腕のだるさ、手指に力が入らない、指先や肘のあたりにしびれと痛み、肩や首まわりのコリ、倦怠感などの症状が見られ、腰部脊柱管狭窄症は、腰の重みや痛み、腰回りに違和感、排尿障害、間欠趾行(かんけつはこう)などの症状が見られます。
間欠跛行というのはじっとしていればなんともないのですが、長時間歩いたり、活動していると、両太ももの外側からお尻にかけて痛みやしびれ、強い脱力感が現れ、歩けなくなってしまう症状の事です。これは腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状なので心当たりのある方は専門家に相談しましょう。
脊柱管狭窄症の症状は?
脊柱管狭窄症は様々な疾患が併発して起きることが多く、この章ではそれらについても触れていきたいと思います。背骨は非常に頑丈にできていますが、年齢を重ねたり、激しいスポーツを繰り返し行うことで少しずれたり、衰えたり、変形してしまうことがあります。
例えば、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)は、椎間板が衰えていき、本来もっているクッションの働きが上手くきかなくなることで骨同士がぶつかって損傷したり、椎骨やその周辺が変形したり、トゲ状に変化したり、脊髄の後ろ側に位置する上下の骨を連結させる靭帯が厚くなったりして脊柱管・脊髄を圧迫・刺激する疾患です。
または、変性すべり症は、女性に多くみられる疾患ですが、椎間関節と呼ばれる背骨の関節が破壊されてしまったり、椎間板の異常、あるいは単純に衝撃などが加わったりして背骨にズレが生じて脊柱管・脊髄を圧迫・刺激します。
あるいは腰部椎間板変性、これは歳をとったり、長年蓄積された負荷によって椎間板が変形したり、椎間板そのものが潰れてしまう症状です。椎間板の中心には水分を含んだゼリー状の「髄核」があり、周囲は「線維輪」という丈夫で強固な組織でできているのですが、年を重ねることで身体の水分が失われ、椎間板がその役割を果たせなくなる疾患です。
まとめ
今回は加齢によって起こりやすくなる背骨の疾患、脊柱管狭窄症について記事を書いてまいりました。背骨の構造や、その症状などお分かりいただけたことと思います。
加齢による身体の不調は止められるものではありませんが、一般的に言われている運動、食事、生活習慣に気を使って生活する事で、多くの病気が予防、改善できることは確かです。またこういった骨の異常、変形などは男性に比べて女性に発症するリスクの方が高く、より一層の注意をしてほしいと思います。
なお脊柱管狭窄症の症状はその他の疾患でもよく出てくるものです。今回の記事で触れたような症状が現れたからといって早合点はしないようにしてください。どんな疾患でも改善には原因の特定が大切です。身体の不調に悩んだら、お気軽に当院までご連絡ください。