五十肩とは?時期別にみる症状と対策
人間にはいろいろと便利な部位が存在します。例えばものをつかむ手のひら、身体を動かす足、音を聞き取る耳など大変便利なものばかりですが、上半身の動作の中心になるといえばやはり肩です。肩は上下左右に自由に動かせるため、様々な動きに対応できます。
また知られていないところでいえば肩は正しい姿勢を保つことで、背骨や骨盤のバランスを維持し、身体全体を支え上半身の姿勢をサポートする重要な役割も果たしていますし、肩を起点として背中やひいては腰に至るまでのバランスを維持することにも一役買っています。
そんな肩が動かしにくくなるのは一大事、と誰もが思うものですが、やはり痛みを伴わない段階ではなかなか日ごろからケアを行うことは難しいものです。今回はそんな肩にまつわる疾患、五十肩(「肩関節周囲炎」)について記事を書いてまいります。
五十肩とは
中年以降、特に50才代に起こりやすいと言われる肩関節の炎症、「五十肩」。これは正式には「肩関節周囲炎」と言う障害で、40才代でも起こる可能性があることから「四十肩」と呼ばれることもあります。現代の40代、50代はまだまだ若く仕事やスポーツなどで活発に体を動かす人が多い一方で、関節の中でも最も可動域の広い肩関節には負担がかかりやすいため、加齢による回復スピードの衰えでその負荷に耐え切れなくなってしまうケースが少なくないのです。
より具体的に言えば、五十肩は肩関節にある腱板や上腕二頭筋の一部の筋、肩前方の膜や靭帯で成る腱板疎部などに起こる炎症で、炎症により関節と周辺組織がくっついてしまうと関節の動きが悪くなって肩の可動域が著しく制限されてしまいます。例えば服を着替えるときや洗濯ものを干す時、電車のつり革をつかむ時、髪を後ろに束ねるときなどに痛みを感じる、あるいは痛みのせいでそれらの動作を行うことができない、など等。左右どちらか片側だけに発症することが殆どで、意外にも利き腕とは限らない点も特徴です。症状によっては肩こりとも混同されがちですが、肩こりは筋肉の緊張などが原因で、炎症が原因の五十肩とは区別されます。
五十肩の症状と時期
五十肩は殆どの場合時間の経過とともに自然と改善していきますが、その経過に合わせて適切な対処をすることで悪化を防ぎ回復を早めることができます。
まず発症から2週間ほどまでの、「急性期」。初期症状としては肩が重苦しく感じる、関節にピリッとした痛みがある、腕に違和感を感じるといったことが挙げられ、やがてズキズキとした疼痛を感じるようになります。更には腕を動かす時だけでなく、安静時や就寝時にも痛みを感じるように。この急性期は無理に動かそうとせず、湿布などで炎症を抑えることが大切です。
急性期を過ぎると「慢性期」に入り、この時期には痛みはかなり軽減していますが、関節が硬くなっているため肩が動かしにくくなっています。このため関節の動きを良くするために肩の運動を行い、無理のない範囲で可動域を少しずつ広げていく必要があります。
最後の「回復期」では、痛みが徐々に解消され肩の可動域も元通りになっていき、動かしやすくなります。発症から半年~1年後くらいにはこの回復期に入るケースが多いのですが、人によっては数年かかることも。また症状が残ってしまうこともあるため、積極的に肩の運動を行い低下した筋肉を取り戻すことが勧められています。
まとめ
今回は年齢を重ねる、あるいは筋肉のオーバーユースなどによって引き起こされる五十肩(「肩関節周囲炎」)について記事を書いてまいりました。文中にもありますが、肩や股関節など頑丈に出来ている部位というのはいきなり痛くなるというよりも段階を踏んで徐々に悪化していく傾向があります。
そのため、どのような病気でもやはり早期発見・早期改善がなによりですから、少しの痛みでも放置せずになるべく早く専門家に相談することをお勧めします。また例えば少しの痛みが出てきたり、肩のケアを考える際には以下のような運動もおすすめですから、ぜひ、試してみてください。
痛みが治まったら行うエクササイズA(水の入ったペットボトルなど)
1,痛みがあったほうの腕に水の入ったペットボトルなど重りを持ちます
2,椅子の後ろに立って、重りをつけていない手で背もたれをつかみ体を支え、30~40度前に屈みます
3,力を抜き、重りをつけた腕が振り子になるイメージで、腕全体を前後に大きく円を描くように2~3度回し動かします
3が自然に止まるのを待ってから、10回くり返します。重りは、0.5~1kgくらいのものがおすすめです。
痛みが治まったら行うエクササイズB(傘やゴルフクラブなど)
1,両手を前方に伸ばし、肩幅と同じぐらいの間隔幅で棒を握ります
2,バンザイをするように棒をあげたら、ゆっくりと足元まで下ろします
3,また、1の体勢に戻したら、今度は水平に左右にゆっくりと動かします
4,最後に、バンザイの状態から、体を左右にゆっくりと傾けます
上体を左右に倒すときは、わきや肩甲骨が伸びているのを意識することがコツです。エクササイズAと同様に、10回くり返します。
引用:WG
https://www.dr-air.com/wellgood/article/shijyukata-gojyukata-stretch/#link5