体を蝕んでいく恐ろしい病!関節リウマチ!!
朝起きるとしばらく手が開きにくい、身体が自由に動かない、膝の関節が痛むといった悩みはありますか?それらの症状は関節リウマチが引き起こしているかもしれません。
今回は名前は知っているけど、症状やメカニズムは知らない。という方に向けて関節リウマチを説明するような記事を書いていこうと思います。
関節リウマチの主な症状はこわばり・関節痛などがあげられますが、それらはどのようなプロセスで起こるのでしょうか?一緒に確認していきましょう。
関節リウマチが起こる体の変化
関節リウマチが発症する原因は免疫のメカニズムが関係していると言われています。免疫とは外部から体に侵入してきた細菌や、ウィルスに抵抗して排除するといった云わば体を守る防衛システムです。
例えばインフルエンザウィルスが体に侵入すると高熱、関節の痛み、のどの腫れ、咳などの症状が現れます。これらは免疫がインフルエンザウィルスと対抗して闘っているため起こります。
ちなみにインフルエンザウィルスや細菌など、体の外部から侵入してくる外敵を「抗原」、それに対抗して体外に排除する働きを持つ物質を「抗体」と呼びます。抗体は白血球から作られ、外部から侵入した敵を発見し、それらを攻撃します。
このように私たちの体は免疫によって感染症から守られています。
しかしこの抗体がなにかのきっかけで自分の体にある細胞を外敵とみなし攻撃してしまう事があります。こうした免疫異常が引き起こす疾患を総じて「自己免疫疾患」と呼び、今回のテーマである関節リウマチもこれに属しています。
関節リウマチが引き起こす痛みやこわばりの原因
関節リウマチの症状でよく現れるのがこわばりや関節痛であると前述しましたが、特に多いのが膝の関節に水が溜まってしまい、痛くて動かせない、などの症状です。この原因について少しご説明します。
まず初めに関節について少し補足します。関節を軟骨が覆っている事を知っている方は多いと思いますが、その内側にさらに骨膜があることはあまり知られていません。
軟骨は80%ほどの水分とコラーゲンから出来ていて、関節をスムーズに動かすために弾力性があります、そしてその軟骨の動きをサポートするのが滑膜です。
滑膜は厚さ1mmにも満たないとても薄い膜ですが、滑液という粘りと弾力性のある液体を分泌する役割を持っていて、この滑液が関節内へと流れていき関節液になります。この液体が潤滑液となり関節の動きをサポートしたり、酸素や栄養素を軟骨に運んでいます。
骨膜の炎症が引き起こす問題と症状
しかし免疫に異常が起き、骨膜が攻撃されると、骨膜は炎症を起こして腫れあがってしまい、滑液を異常に多く分泌するようになります。それによって、膝に水分が溜まってしまうというわけです。
また、炎症すると「サイトカイン」や「プロスタグランジン」といった発痛物質(痛みを引き起こす物質)がたくさん分泌されます。骨膜には様々な神経が集中しているので、関節液に発痛物質が混ざりこみ、神経に触れると痛みを感じます。あるいは骨膜のむくみによって神経が圧迫されることでも痛みが発生します。
一般的に関節リウマチは進行性の病気なのですが、症状の進み具合は人によって様々です。発症してからわずかな期間で急に病状が進んでいく人や、ごく少数ながら症状が落ち着いて安定する(寛解する:かんかいする)人も存在します。
しかし大体は症状が良くなったり悪くなったりと、安定しない状態から10年、20年の歳月をかけて進行していきます。
一口メモ
「病気が治った」「治癒した」というのは「病気の症状が体から消え去る」という意味です。一方で「病気の症状がほぼおさまってきた状態」の事を寛解(かんかい)と呼び、これはまだ完治していない状況を指します。
関節リウマチの症状について
関節リウマチの代表的な症状に「こわばり」についても触れていきましょう。関節リウマチによるこわばりは、朝起き上がってからの三十分以内に起きやすい傾向にあります、その理由は睡眠中に炎症が起こり体液が溜まり、むくみが現れるからです。
また日中でも手足が動かしにくい、手に力が入らない、握りにくい、関節を自由に伸縮できないといった症状が見られます。軽度のうちは体を動かすことによって「こわばり」が引いていきますが、悪化すると一日中症状に悩まされることになります。例えば朝の「こわばり」が15分から1時間続く人は関節リウマチ予備軍の可能性が高いです。
また関節リウマチの症状として見られる腫れは始めは指の関節に現れることが多いです。指先から数えて二番目と三番目の関節が腫れるのが特徴で、腫れている部分は赤く熱を発し、痛みが出ます。こうして段々と腫れの症状が進み、足首、膝、肘、股関節へと波及します。
まとめ
今回は関節リウマチのプロセスや症状について確認してきました。関節リウマチは本来私たちの体に侵入してきた外敵を駆除する役割を持つ免疫に異常が起き、私たちの体を攻撃しだす病だと確認してきました。
関節リウマチは進行性の病と前述した通り、発症すると10年、20年も同じ病に苦しむことになります。それだけ症状が進行してしまうと日常生活にも支障をきたしますので、関節リウマチの症状が見られた場合は、なるべく早く専門家に相談しましょう。