めまいを引き起こすメニエール病
身体の不調というのは誰にとっても好ましいものではありません。骨折などのズキズキとするような痛み、腹痛のような腹を刺す痛み、あるいは二日酔いなどの気持ちの悪さは形容し難い不快感です。
けれど今回のテーマになっているメニエール病が引き起こす「めまい」のつらさは群を抜いているものがあります。なぜならかかったことのある人にしか、そのつらさがわからないからです。
日常生活を送っていてケガをしたことがない、腹痛を経験した事がない、という方々はまずいないと言っていいでしょうが、めまいはその限りではありません。さらにめまいは一見すると健康に見えてしまうので、仕事に穴を開けたり、なかなか集中できないでいるとあの人は「怠け者」であるというありがたくない烙印を押されてしまうこともあります。
ではめまいが起こると、どのような気分になるのか、一緒に確認してまいりましょう。
メニエール病について
それではメニエール病についてご説明していきたいと思います。この疾患を説明するには耳の構造を説明するとわかりやすいので、そちらから始めます。私たちが耳と呼んでいる顔の横についている器官は専門用語では耳介(じかい)と呼ばれるものです。
そして耳介の中にある耳掃除をする部分は外耳道(がいじどう)と呼ばれ、耳介と外耳道を併せて外耳(がいじ)と言います。そしてさらに奥にある鼓膜とその少し奥にある中耳(ちゅうじ)を併せて内耳(ないじ)とよびます。
ちなみに中耳内に肺炎球菌やインフルエンザ菌が侵入・繁殖して炎症を引き起こすのがいわゆる中耳炎です。中耳炎は抵抗力の弱い1歳~5歳の子供に掛かりやすく多くの方に経験がある病の一つではないでしょうか。
話を耳の構造に戻します。鼓膜の奥を内耳と呼ぶと言いましたが、この内耳は鼓膜によって密閉されおり、中は内リンパ液という液体で満たされています、そしてその液体の中に三半規管と耳から入った音を電気信号に変える蝸牛(かぎゅう)という器官があります。
内リンパ液は毎日新しく生成される量と身体に吸収されていく量が一定で普通であれば内容量は変わらないのですが、供給が過剰に陥り、様々な症状を引き起こすのが今回テーマとなっているメニエール病というわけです。
メニエール病の症状
冒頭の通り、メニエール病が引き起こす症状で一番多くみられるのが「めまい」です、そしてめまいが引き起こす吐き気、さらには耳閉感などが現れるようになります。耳閉感というのは読んで字のごとく、耳が詰まっているような感じがして音が聞き取りずらく、プールに沈んだ時のような感覚のことです。
ではこの症状がなぜ起こるのか、ということですが、先ほどご紹介した三半規管という組織がバランス感覚を司る器官ということは多くの方がご存知だと思います。この三半規管が湖の水面のように内リンパ液の動きをキャッチすることで私たちはまっすぐ立ったり、歩いたりすることが出来ます。
しかし、メニエール病によって内リンパ液が過剰に分泌されると、内耳がむくむようになり耳閉感が現れ、三半規管に正確な流れが伝わらなかったり、三半規管自体が混乱することでめまいを発症するというわけです。
男性の多くは経験があるかもしれませんが、極端にいえばめまいを引き起こしている状態はグルグルバッドの後の状態がずっと続いているということです。まっすぐに歩けないのはもちろんですが、立っていることも出来ませんし、集中してパソコン画面を見ようなどもっての他です。
人間の本能には他人に対して共感し、受け入れてあげる心、つまり共感的理解をする能力がありますが、仕事、家事、育児などに追われ心に余裕がなくなってくると、共感する心が薄れ、自己中心的な物の考え方をしてしまいがちです。
さらに言えば、自分の経験した事がない痛みやつらさというのは、共感が得難いもので、うつ病や自律神経失調症なども名前がメジャーになるまでは「怠け者」の証として捉えられてきました。
めまいのつらさも同様に、経験がない人にはなかなか理解されません。メニエール病は特に過剰なストレスによって引き起こされるというのが一般的な見解ですから、余裕がなくなっていても他の人を思いやる心は忘れないようにしていただければと思います。
まとめ
今回は耳の奥の内耳を満たしている内リンパ液が供給過剰になり、耳の耳閉感やめまいなどの症状を引き起こすメニエール病について記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、ストレスによって引き起こされるこの疾患は、めまい、吐き気、そして他人に理解してもらえないといった新しいストレスを生み出してしまう疾患でもあります。
昨今の日本ではなかなかストレスを全く感じないという環境を作ることは難しいですが、趣味を持ってみたり、運動を始めてみたり、休日は家にこもらずに友人と出かけるなど、なるべくストレスをためない環境が作れると良いですね。