成長期には悩みがたくさん!シーバー病!!
膝が痛い、かかとが痛い、腰が痛い、というとどうしても高齢者を想像してしまうかもしれません。確かに人間の身体が年老いていくと老化が始まり、身体は硬くなり、関節に疾患が現れたり、内臓がきちんと働かなかったり、自律神経が乱れたり、と様々な症状が起こります。
しかし、一見ケガなど起こらなそうな成長期特有のケガや疾患というものも世の中にはあります。今回ご紹介するシーバー病もその一つ、成長期の子供、特にスポーツを頑張る子によくみられるかかとの痛みが特徴で、重症化するとかかとを地面につけるだけで痛んだり、スポーツをお休みしなくてはいけなくなります。
特に一年生であったり、そのスポーツを初めてするような子の場合、いきなり先輩方の練習についていこうとして過度に練習してしまったり、いままでケガを負った経験がないことから、無茶なプレースタイルをしたり、準備運動を怠ったりしてしまうので指導者・保護者の方は注意が必要です。
それでは記事を初めてまいります。
シーバー病とはどんな病気? ~その1~
この疾患は例えばバスケ、サッカー、野球、ハンドボールなど走ったり、ジャンプしたりを繰り返すスポーツをしている10歳~15歳の子供に発症しやすいもので、正式名称は踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)といいます。
冒頭にもありますが、主な症状がかかとの痛み、そして腫れなどが起こり、かかとを付けると痛みが走るのでつま先立ちで歩くようになります。ではなぜこの疾患が成長期に現れるかというと、まずは骨格がまだしっかりとしていないこと、それから成長期特有の部位が原因で起こるからです。
人間の身体に成長期があることは皆さまご存知だと思いますが、成長期の身体は徐々にすべての部位が大きくなっていくというわけではなく、まず初めに骨が伸長していきます。そしてそれに追いつくように筋肉や腱、靭帯などが成長していくのです。
ですから成長期の骨には骨が伸長するために必要な骨端線(こったんせん)が両端についています。この部位は成長期が過ぎるとなくなり、大人と同じような硬い骨に代わります。成長期にカルシウムが必要といわれるのはこれが理由です。
シーバー病とはどんな病気? ~その2~
そして身体の骨同様、かかとにも骨端線があり、これを踵骨骨端核(しょうこつこったんかく)と呼びます。ここに度重なる負荷がかかることによってシーバー病が発症するわけですが、ジャンプ後の着地が多いからここに負荷がかかるというだけではありません。
人間の身体はすべて一つながりで出来ていますので、骨盤から始まる筋肉が太ももの筋肉(ハムストリング)がふくらはぎの裏にある、ヒラメ筋などを通り、アキレス腱を経由してかかとの骨につながっています。
さらにかかとの骨は足の裏にある足底筋ともつながり、この一連の構造によって私たちは踏ん張ったり、つま先を伸ばしたり、走ったりすることができるというわけです。ですからかかとだけが問題なのではなく、ふともも、ふくらはぎ、アキレス腱、足底筋などがかかとを引っ張ることで症状が起こるのです。
ちなみにシーバー病と同様、成長期の子供がかかりやすい疾患として膝の下が痛むオスグッド症、スネが痛むシンスプリント、膝の内側が痛む鵞足炎(がそくえん)、足の裏が痛む足底筋膜炎(そくていきんまくえん)など下半身にまつわる疾患は多くありますので、覚えておくとよいかもしれません。
まとめと対処法
今回は成長期に多い、かかとの疾患であるシーバー病について記事を書いてまいりました。最後に痛みが出た際の対処法ですが、まずは安静が一番です。痛みがなくなるまで部活などには参加しないようにしましょう。
しかし、安静にして一時的に回復しても同じ行動を続けていてはまた発症してしまうリスクがあります。スポーツの多くは団体行動が原則で周りに合わせて行動しなければなりませんが、練習前の柔軟と練習後のクールダウンは周り以上に行うことを心がけましょう。
文中でも触れていますが、シーバー病はかかとだけの問題ではありません。太ももやヒラメ筋など筋肉は酷使が続くと疲労をため、どんどんと硬くなる性質を持っています。クールダウンをしっかりと行うとこの筋肉に溜まった疲労物質が流され、疲労が蓄積しない身体作りができるようになります。
しかし、もしも準備運動やクールダウンをしっかり行っていても症状が改善しない場合はそもそも違う疾患である可能性もあるので、その時は専門家に相談するようにしましょう。
また痛みが続くようであれば保護者・指導者にきちんと事情を説明して、練習メニューを変えてもらったり、プレースタイルを変えてみる努力をしてもいいかもしれません。たった一度しかない青春ですので、出来れば痛かった記憶ではなく、楽しかった記憶を残したいものですね。