サッカー選手の職業病?フットボーラーズアンクル!
様々な職業にはその業種ごとに職業病が存在します。例えばデスクワーカーであれば腰痛、肩こり、眼精疲労、重たい荷物を常に運んでいる方は腰や背骨、あるいは膝に疾患が生まれやすい環境だといえます。
もちろん身体を動かしたり他社とコンタクト(ぶつかる)する機会の多い、スポーツ選手も業種ごとに悩みの種ともいえる疾患があります。卓球なら腰、テニスなら肘、野球ならば肩といった具合です。
あるいはゴルフやダーツといった再現性のスポーツではイップスなどもその範疇に入るかもしれません。そして今回のテーマであるフットボーラーズアンクルは名前の通り、サッカー選手に起こりやすい疾患の一つです。それでは詳しくみてまいりましょう。
フットボーラーズアンクルとは?
この疾患は日本ではあまりメジャーではありませんので、ご存知ない方も多いと思いますが、とりわけ跳んだり走ったり、あるいはボールを蹴ったりするサッカーにおいて、よく使われる足首に痛み、炎症あるいは骨棘(こっきょく)と呼ばれる骨の変形を生み出す疾患です。
では、どのようにしてそれが起きるかということですが、これにはまずは足首の構造を確認してみることが早道です。膝から下には脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)の二本の骨が走っていて、それが足首を動かす起点になる距骨(きょこつ)につながり、その下には踵骨(しょうこつ)つまり、かかとの骨につながっています。
足首を上下に動かせることからもわかるように足は一本の骨で全てが繋がっているわけではなく、それぞれ個別の骨が重なるように出来ています。そして足を踏ん張って前にダッシュしたり、ボールを蹴るときに脛骨と距骨のつなぎ目がカスタネットのように何度も衝突を繰り返すとその刺激によって骨棘が生まれたり骨増生が起こったりします。
骨棘とは漢字からも推測できるかもしれませんが、繰り返す衝撃によって骨がトゲ状に変化してしまうものです。当然、足のなかにトゲがあるわけですから、歩いたり、押したりした時に痛みを感じます。
また骨増生(こつぞうせい)というのは骨の表面を覆う骨膜にやはり過剰な刺激や損傷を受けると発生するもので、これも漢字の通り、骨が必要以上に増えることで可動域の制限がかかったり、その刺激によって痛みを発生するもので、こういった現象が起こるのがフットボーラーズアンクルというわけです。
フットボーラーズアンクルの予防と対処法
前述の通り、この疾患を引き起こすのは脛骨と距骨が過度にぶつかり合ったりすることで起きますので、サポーターなどを用いて可動域の制限を行ってあげることが予防に繋がります。
またテーピング以外にも初期症状ともいえる足首の捻挫に気を付けることも大切です。サッカーに限らず捻挫はどなたにでも起こるうるケガですし放置しておくと2~3日で痛みが減っていくことから放置されがちなケガです。
もちろん、ひどい場合は靭帯が損傷・断裂していたり、ということもありますが、その場合は痛みが簡単には引きませんし動けないほどの激痛からどなたでも医療機関にいくと思います。けれど多くの場合、痛みがない=治っているという認識が多いことから、繰り返し捻挫してしまう方が多いです。
その理由は肩関節なども同様ですが、骨の表面にある潤滑油(骨膜)や軟骨組織のズレにあります。人間は年を重ねるごとに筋肉もスジも関節も硬くなっていきケガをしやすくなるものですが、若い時分に気を付けなければならないのは捻挫や脱臼の再発なのです。
腫れも炎症も痛みもなくても軟骨組織がズレていると、足首の関節が不安定になり、ちょっとしたことで捻挫を繰り返し、その繰り返しによってフットボーラーズアンクルの原因にもなる骨棘や骨増生が起こって再度痛みが発生します。
これを回避するためには捻挫を侮らず、痛みが治まった後も安静を続け、出来れば専門家のOKが出るまでは練習もお休みして治療に専念することです。
まとめと対処法
またフットボーラーズアンクルが重症化すると先のように可動制限が起こるだけでなく、骨棘が骨折し、足の甲に骨が残ってしまうことでボールを蹴るたびに痛んだり、階段を上る、朝一番の一歩目が痛むといった事も起こりえますので注意が必要です。
しかし安静にするといっても、サッカー選手を生業としている方にとっては当然、日々の練習や試合が仕事そのものですから、コーチや専属の専門家と相談しながら軽いメニューをこなしたり、足首を使いすぎない練習メニューにするなど工夫をするようにしましょう。